
こんにちは、YSP富山です。
前回の「グループIII/VHVI」ベースオイルの流通ルート(韓国80%・中東20%)のお話、一部のコアなお客様から「こういう裏話が読みたかった!」と大好評をいただきました。
しかし、世界情勢やエネルギー市場に明るいお客様からは、さらに容赦のない突っ込みが。
「元売りのオイルメーカーなら、ベースオイルなんて長期の定期契約でがっちり確保してるはずでしょ? なんで今すぐ在庫が逼迫するの?」
……完全にプロの視点ですね(笑)。
分かりました。今回はさらにピットの奥の、精製メーカーとオイル元売りの間で交わされる「契約のからくり」と、直近の「2026年3月に韓国で起きたリアルな政変」について暴露します。
1. オイルメーカーの調達システム:『定期契約(ターム)』と『スポット購入』の攻防
ご指摘の通り、ヤマハ純正オイルを製造する元売りメーカーや大手ブレンダーは、ベースオイルの大半を半期や年間の「定期契約(ターム契約)」で、安定した数量と価格でガッチリと押さえています。これによって、急な価格高騰や供給ストップから守られているのは事実です。
しかし、問題は「足りない分のスポット購入」にあります。
バイクの需要やオイル交換のタイミングは、季節や天候、新車のデリバリー状況によって細かく変動します。定期契約の枠を超えて「あとこれだけオイルを作りたい!」となった時、メーカーは市場からその都度買い付ける「スポット市場(現物市場)」に頼ることになります。
現在、中東情勢の緊迫化によるタンカー不足や航路変更で、このスポット市場が完全に「焼け野原」になっています。
定期契約分のベースオイルは入ってきても、国内の需要期に向けて「上乗せして仕込みたい分の原材料(ベースオイルや特殊添加剤)」がスポット市場で全く捕まらない、あるいは価格が狂ったように高騰している……これが、今のピットの裏側で起きているリアルな防衛戦です。
2. 2026年3月:韓国の石油製品「輸出規制」と精製シフトの激震
さらに、当店の主要ルートである「韓国80%」の牙城に、直近の2026年3月、大きな地殻変動が起きました。
世界情勢の緊迫に伴うエネルギー安全保障の観点から、韓国政府が2026年3月に「石油製品の輸出規制(供給コントロール)」へと踏み切ったのです。
これにより、韓国国内の巨大製油所(SKやS-OILなど)は、限られた原油の配分を変更せざるを得なくなりました。彼らが取った選択は、「余った石油や中間基油の精製を、利益率が高く国内需要が逼迫しているガソリンや軽油、航空燃料へと最優先で回す(精製シフト)」ということでした。
その煽りをモロに食らったのが、同じ原油のボトム(重質成分)から作られる、私たちの愛車に不可欠な「グループIII(VHVI)ベースオイルの輸出枠」です。ただでさえ物流が遅延しているところに、この3月の輸出規制とガソリン増産シフトが重なり、日本の高級オイル市場全体の需給バランスが、水面下で一気にタイトになりました。
だからこそ、YSP富山は「予約制」であなたの愛車を守ります
◯ 定期契約の隙間を埋める「スポット市場」の枯渇。
◯ 2026年3月の韓国による石油製品輸出規制と、ガソリンへの精製シフト。
◯ そこへ追い打ちをかける、中東の地政学リスク。
点と点だった世界経済のニュースが、今、皆様の愛車の「ドレンボルトから抜いた古いオイル」と「新しく注ぐヤマルーブ」の間で、生々しく繋がっているのを感じていただけるでしょうか。
メーカーが必死の調達を続けているからこそ、私たちYSP富山も、確実にご予約をいただいたお客様の分を「確実に囲い込み、ピットにキープする」という防衛策をとらざるを得ないのが、今回の「完全予約制」の本当の理由です。
「世界情勢のせいで、愛車に極上のヤマルーブを入れられなかった」なんて事態は、当店のお客様には絶対にさせません。